爆裂BOX

巨人獣 プルトニウム人間の逆襲の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.5
放射能の影響で身長60フィートを超える巨人になってしまったマニング大佐。ラスベガスを荒らし回った末に、軍の集中砲火を浴びてダムから転落死したかに思われた彼は実は生きていた…というストーリー。
「戦慄!プルトニウム人間」の続編です。監督は前作から引き続きバート・I・ゴードンが手掛けています。
顔に大怪我を負いながらもメキシコの岩場へ逃れて生き延びていたマニング。軍は彼を捕獲し、妹の懇願もあって何とかマニングに平穏な生活を送ってもらうことができないか軍と政府で話し合いが行われるが、全員が納得できる結論は出なかった。そうこうしている間に理性を失ったマニングは施設を脱走し、付近一帯の住民を恐怖に陥れる、という内容です。
前作の直接的な続編ではありますが、マニングの見る夢で前作の内容もダイジェストで紹介されるので今作から見ても大丈夫な作りになっています。
冒頭、背後を警戒しながら必死でトラックを飛ばすメキシコ人少年や、行方不明になりショック状態で発見された少年、巨大な足跡などマニングは登場せずにその痕跡から妹が軍人や科学者と共にマニングが生きているのでは?と捜索をするという展開で引っ張ってじらす所は怪獣映画らしい展開だと感じました。まあ、結構すぐに姿現しますが(笑)
マニングの中の人は変わっていますが、前作でダムから転落した際に負った傷で、顔の半分の皮膚が剥がれて骨がむき出しになっているというホラーなお顔にしてその問題解決してます(笑)アップのシーンでは結構ギョッとさせる顔になってますね。また、後遺症の為か記憶も理性も失われてひたすら「ウーウー」唸り声上げるだけで言葉喋らないので、人間味があった前作よりもモンスター感も強まってますね。特撮部分は巨人と一般人の対比など、前作よりもうまくできているんじゃないでしょうか。
前作では中佐だったのが今作では大佐になってるのは前作で死亡扱いになったから二階級特進みたいになったのか。また、前作では婚約者キャロルが「身内は私以外いないです」と言ってたのに、今作ではヒロインとして妹ジョイスが登場します。あれだけ支え続けたキャロルがまるで登場しませんが、同じくマニングの身を案じて必死で助けようとする役割などジョイスにとってかわられて存在無かったことにされたのかな?
マニング大暴れを期待すると序盤では持ってきたトラック漁ったりするけど、中盤で捕獲されて「ガリバー旅行記」の様に縛り付けられてからは、一回拘束引きちぎって逃げようとしたりするも、ほぼ拘束されてウガウガ唸ってたり、前作の事回想したりするだけであまり暴れてくれないのは残念。終盤では再び脱走して、山中の天文台に現れて見学に来ていた子供達一杯乗せたスクールバスジャケの様に持ち上げたりするも、放り投げて破壊したり大暴れしなかったのも残念ですね。
捕獲したマニングの処遇を巡って政府の各部署で電話でたらいまわししたりして中々置いておく場所やその処遇が決まらない所は妙にリアルさを感じましたね。軍や政府上層部のマニングを厄介者と捉える冷めた対応と、人間として考えて必死で救おうとする妹ジョイスを対比させる展開は悪くないと思います。
終盤でジョイスの説得でバスを下ろしてその名前を呼んだ所はマニングが人間性を取り戻したと感じさせますが、それ故に選んだラストは悲しいですね。
このラスト部分でカラーになる演出はインパクトあって印象に残りました。
前作よりも怪獣映画としての色出してきてますが、ドラマ性も失われてなくて楽しめました。