ちゃーりー

キャバレーのちゃーりーのレビュー・感想・評価

キャバレー(1972年製作の映画)
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念願だった映画を午前十時の映画祭で👠🎶
大スクリーンで観て、本当に嬉しかった作品でした。
狂言回しのMCによっていざなわれるキャバレーの演目は、サリーやブライアンらが過ごした時間の中から、人生の教訓を抽出するように説明的に差し込まれていました。滑稽な残酷さが大爆発していて、全部ドキドキしました。サリーの歌声に瞳はキラキラするはずです..🖤

そして『キャバレー』は私の人生の中で1番怖い映画でした。
あまりにも怖すぎて、本当に本当に映画館から飛びだしたくなりました。ホラーでもなく、人間の恐ろしさでもなく... 歴史を知っているからこそ、映画のどこにもハッピーエンドは見つけられません。
特に、劇中珍しくといっていいほど開放的な光がさす中、爽やかに歌い出す青年のシーンが最も恐ろしかったです。カメラは青年の顔からゆっくりと移動して、あのマークの腕章を映し出します。青年に続いてひとり、ふたりと立ち上がり、次第に群衆の大合唱が生み出されていきます。視線はたった一点に集まり、熱心に歌う人々の顔と歴史とがオーバーラップして、圧倒的な不安を思い出させました。
ドイツの未来がじっとりと浸透していく様を、映像作品だからこその恐怖で煽っていました。
ラストの不穏なドラムロールも、心臓の鼓動を早めます。
エンドクレジットは嵐の前の静けさです。
今年15作品目
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