イタリア・ネオリアリズモの巨匠、デ・シーカ監督がハリウッドに招かれて制作した大ヒット作。物語の進行と上映時間が一致させた実験的な作品。
ローマ在住の妹にニューヨークから会いに来た家庭ある女性が帰路に発つ夜。ローマ中央駅には、滞在した1か月の間に恋に落ちたイタリア青年が見送りに来ていた。離れがたい二人に刻々と列車の発車時間が迫っていた。。。
2時間の間に二人に起こる様々な出来事がヒロインの気持ちに揺さぶりをかけていく。そのシナリオがうまく出来ていて最後まで楽しめた。映像もネオリアリズモで鳴らしたデ・シーカ監督だけに、駅構内のロケーションや人々の様子が絶妙に切り取られ、1953年のローマ中央駅を体験しているようにも感じられた。
終幕の後、黒い画面に音楽が引き続き流れて余韻を感じさせるのも心憎い演出だった。
※Wikipediaによると、プロデューサーは「逢びき」(1945)に匹敵するメロドラマを目指したとのこと。「逢びき」も不倫劇で駅舎も舞台の一つになるが、古式ゆかしい作品で本作とは映画の質が全く違う。