ヴィットリオ・デ・シーカ監督が、生涯唯一ハリウッドプロデューサーと手を組んだ米伊合作のメロドラマ。
"In this country, its the men who count. You American women are much too emancipated."
8年寄り添ってきた夫を選ぶか、1ヶ月を共に過ごした青年を選ぶか。ほぼ全編ローマ・テルミニ駅構内で繰り広げられる不倫メロドラマ。
これはハマらなかった。不倫映画は、どれだけ2人に感情移入できるか、どれだけ不倫という行為に及んでしまう動機と過程に納得できるかに懸かっていると思うのだが、本作のロマンスは魅力も必然性もあまり感じられなかった。
ジェニファー・ジョーンズの思い詰めた泣き顔には心動かされたが、モンゴメリー・クリフトの表情からはその心が読み取りづらかった。
デ・シーカ監督らしい、イタリア・ネオリアリズモ的な描写は興味深かった。駅構内を行き交う人々からは時代性が感じられたし、子どもたちは純真無垢な良い表情をしていた。特に、列車内での密会がバレた二人をニヤニヤしながら眺める野次馬たちと、チョコレートを嬉しそうに頬張る子どもたちの画が心に残る。
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