正直『マッドマックス2』が『マッドマックス』の続編たり得る要素というのがメル・ギブソンと愛車インターセプター、カーアクションのみという感じがするくらい、世界観にもストーリーにも思い切った変更を加えてきたという印象。前作はひとりの男が復讐にとらわれ、荒野に散っていく様子が描かれているが、ここではっきりとディストピアにおける救世主という役割を得る。そういう意味で『マッドマックス』は前日譚としてとらえることができ、『マッドマックス2』以降、ようやく本編が動き出すと言えるだろう。
相変わらずジョージ・ミラーの美的センスが絶妙で、個人的には好きではないが独特の個性を放っている。前作よりも予算に余裕があるのか、あまり凝った演出は見られないが、早送りで独特のリズムを作り出している部分などにらしさを感じた。
それにしても、今の季節に見るには尻の寒くなる映画だった!前作でも薄々と感じてはいたけど、『マッドマックス』はどこかウェスタン映画を思い出させる世界観で、今回の悪役のモヒカンごりごり尻むき出しのパンクなヴィジュアルに、その思いを強くした。荒野に生きるパンクスという設定は、ぱっと見では違和感しかないけど、だんだんと砦を囲むモヒカン族に見えてくるものなあ。ただ、単純な勧善懲悪ものにしていないところが、またいい。