ばーとん

冬の猿のばーとんのレビュー・感想・評価

冬の猿(1962年製作の映画)
4.6
ノワール、バディアクション、戦争、スポーツ等のジャンルでは男達の物語がしばしば描かれるが、そのような劇的な舞台なしに男の友情を語る映画はあまり多くないように思う。男と女、女と女の物語に比べて、男と男の物語ってのはやはりストレートに描くには気恥ずかしい。この映画は二人の酔っ払いが町をうろつくだけの話なんだけど、これがなかなか素敵な友情物語になっている。旅先の行きずりなので友情と呼べるのか微妙かも知れないが観ているとやっぱり友情なんだよな。不器用で見栄張りで酒で失敗ばかりする馬鹿者たちなんだけど、男ってのは酒でも飲まないとやってらんないんだよ、よくわかるよ、ほんとうに。けれどベルモンドはちゃっかり寄宿舎から娘を連れ戻して列車で帰郷、駅にひとり取り残されたジャン・ギャバンの孤独な背中にきっと涙するだろう、男なら。
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