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グリニッチ・ビレッジの青春のtakのレビュー・感想・評価

3.4
個人的プロジェクト「名作映画ダイジェスト250」(ロードショー誌80年12月号付録)制覇計画のためセレクト。ポール・マザースキー監督作は、「ハリーとトント」しか観たことがない。主人公ラリーは過保護で過干渉な母親がいる家から逃れ、マンハッタンのダウンタウン、グリニッチビレッジのアパートに移り住む。当時のビレッジは芸術活動に熱心な若者であふれた街。女優を目指すサラ、インテリ詩人のロバート、ゲイの黒人バーンスタインなど、個性ある仲間たちと過ごす日々を描く。

母親が絶妙なタイミングで現れて主人公の日常を引っ掻き回す。見ようによってはコメディなんだけど、主人公にとっては本音ゲームやら別れ話の真っ最中。帰宅を促す夫をよそに干渉をやめない。シェリー・ウィンタースは、「陽のあたる場所」「アンネの日記」の若い頃から「ポセイドン・アドベンチャー」など脇役として印象的な仕事が多い人。この母親役もやり過ぎだけど憎めないキャラクター。

青春群像劇って、自分が共感できる誰かを探しながら観てしまいがち。ひと癖ある面々は確かに面白い。だけど、主人公ラリー君も物事に真剣に向き合っているのかわからない軽さが気になるし、クリストファー・ウォーケンがカッコいいロバートもなかなか素の自分を見せたりしない。自殺未遂を繰り返すアニタのエピソードにしても、その後の彼ら彼女らに何か変化をもたらすこともない。一緒にいる楽しさや居心地の良さが伝わってこなくて、青春映画としてはちょっと残念な気もする。西海岸に向かうラリーの将来に待つのは成功か、それとも。
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