りょうた

ベイビー・オブ・マコンのりょうたのレビュー・感想・評価

ベイビー・オブ・マコン(1993年製作の映画)
4.8
イタリアのある都市で始まった「ベイビー・オブ・マコン」という名の芝居。飢餓に苦しむマコンという町で老婆が産み落とした赤ん坊を巡る物語。実際は赤ん坊の姉でありながら母親であると主張する女性。自身は処女であるが故に処女懐胎の奇跡を起こしたとして、人々に祝福を与え信者に寄進をさせる。これが教会の反感を招くが、町は繁栄を取り戻していく。
この女性が誘惑した司教の息子が赤ん坊の不思議な力で殺されたことで赤ん坊が教会の保護下に置かれると、教会は赤ん坊の血や涙をオークションにかけて儲ける。教会に赤ん坊を奪われた女性は赤ん坊を窒息死させるが、町の法律により処女は処刑されない。そこで司教は処刑するために兵士に処女を奪うことを許可する。
虚構と現実の境が次第に曖昧になっていく演出が素晴らしい。完全に芝居にのめり込むあまり演者の一人となった若き大公や、全裸で牛に殺されるレイフ・ファインズもすごいし、処女でありながら芝居中208人に輪姦されるジュリア・オーモンドも、すべてがやばい。舞台美術も衣装も完璧な様式美の中で、こんなにもグロテスクな物語が展開するなんて!この映像体験は人生観を一変させる、と言っても過言ではない。
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