サド和尚

ニューヨーク東8番街の奇跡のサド和尚のレビュー・感想・評価

3.8
かつて様々な人々が集い、盛り上がり、その沢山の記録と思い出が白黒写真として鮮やかに残るニューヨークのある食堂。
しかしその日々も昔の話、今や街は再開発の嵐に晒されていた。辺りの建物はあらかた取り壊され、重機や作業員が整地に走り回っている。残るはここ、食堂が入っている東8番街のアパート一棟を残すのみ。
住人たちは日々あの手この手の立ち退きを迫られていた。この家を離れたくない気持ち思いは皆同じだった。
それでも、毎日の様に続く嫌がらせに、またそれぞれに抱えた事情から、やはり皆疲れ果てていた。
今日は、1組の夫婦がアパートを後にした。引き止めることなど出来なかった。
そんな折、更年期障害の妻を抱えた老夫婦の部屋に奇妙な訪問者がやってきた。
大きさはお皿程度、金属の円盤に一対の目の様なライト、ふわふわと宙を漂うそれはまるで…

1980年代のニューヨークの片隅を舞台に、未知との遭遇をキッカケに、それまで同じ問題に直面しながら関わり合いがなかった人々が交流する様になり、またそれぞれに自分らしさも取り戻していく物語。最初の方はちょっと気の毒になるシーンが連続するのがちとツライかもしれませんが、斜陽な気分も最初だけです。
スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮のSFというと、最近は破壊神ディレクションによるイカした乗り物に擬態する金属生命体がドンパチやる話が有名ですが、こちらはそんな事はありません。
TFも勿論いいです大好きですが、たまにはこんな優しいお話もまた作って欲しいトコロ。
何でも直すのが得意な本作のそいつらは…折角ですから是非ご自身の目でご覧くださいまし。まあ、パッケージに映っとるので隠すのも何ですが、とってもかわいいやつらです。電気をご馳走するので、是非うちにも遊びに来てくれませんかねえ。
サド和尚

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