アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』とヒッチコック『サイコ』を土台にしたかのようなモーテルの殺人劇。立て続けのサスペンスとギンギンな緊張感、そこからの反転。精神疾患の扱いが50年代のハリウッド的な気がする(孤独な場所でとか失われた週末とか二重婚約者とかボディ・スナッチャーとか)。
顔の向きを変えると世界が瞬時に変わる。その、一つの動きが世界を変えてしまう感覚がマンゴールドっぽいとも思う。椅子の車輪部分をアップに撮るショットが『フォードvsフェラーリ』『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』を想起させて興奮する。
多重人格というアイデアは最近ではマルチバースに取って代わった感じがするなぁ。