ぷかしりまる

リバース・エッジのぷかしりまるのレビュー・感想・評価

リバース・エッジ(1986年製作の映画)
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ぷかしりまる青春のバイブル・岡崎京子の漫画「リバーズエッジ」(映画版はAVのインタビューみたいな変な挿入が増えてて全く好きじゃない)の元ネタ。マジでまんまなんだけど、漫画版の方が死や愛の問題にフォーカスを当てており、そして引きこもりや援助交際の問題を扱っていて、より現代日本人の肌感覚に合うかなと思う。こっちは悪ガキとか不良とかそんな仲良くないのにどうしようもなくてつるんでる集団とかどうにもならない家庭環境とかスタンドバイミーっぽい。
忘れられない朝日新聞の投書に「知らない相手に嫌なことをされると、すぐに心の中で死ねと唱えてしまう」というものがある。それに対し姜尚中さんは、それは生きている実感に乏しいからと答えた。目が覚めるような鋭い指摘だと思う。そしてこの映画も同じだ。生きている実感がないけど、人を殺した時に自分が生きていると感じたと1人の登場人物は言う。別の登場人物は、死体を見ても何も感じなくて、そんな自分が嫌だったと言う。
素晴らしい脚本で良いカットも多い。すごい良すぎてずっと話せると思える位だ。無駄な挿入がなくてすべてが伏線になっている。早朝に12歳の男の子が川の近くでチャリ漕いで(妹の人形を川に落とす)冒頭はノスタルジー全開。そして女を見下して締め殺し征服感を得たと話す男の場面と対された、別の男、まあキアヌだけど、が騎乗位で果て寝転がる(女に主導権を握られている)姿も良い。ハイデガーは死についてそれは個別のものであり代替不可能であると述べた(てかおれがゼミで存在と時間を読んで分かったことはせいぜいそれくらいなんだが爆笑)じゃあおれたちはどう死と向き合えばいいんだと思う。存在と時間は完結していない。みんなもどう死と向き合えばいいのか分からないんじゃないのかな、必ず向き合う時が来るテーマだろうが。社会学的には死は隠蔽されるものになったらしいが…そういうことも含めて今後勉強しようと思いました
兄にいじめられた悪ガキ弟の堪忍袋の尾が切れて銃を向けるが、それを止める終盤も良すぎる。使われている音楽も。
若干タルい会話場面もあるがとにかく良い映画だ。見てほしい