雨のなかの男

アメリカ、家族のいる風景の雨のなかの男のレビュー・感想・評価

アメリカ、家族のいる風景(2005年製作の映画)
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U-NEXTで鑑賞。ヴィム・ヴェンダースの作品で一番好きだなあ。全く別の作品だけれども自分個人の中で『イージー・ライダー』という伝説的ロードムービーは、西部劇崇拝のロマンティックな時代の終わりを象徴する作品だと解釈している。自然地帯から工業地帯へ、馬からバイクへ。物質から精神へと模索する旅の物語は西部劇への愛がなければ描かれなかった、いわば死に水を取るような作品だったと思う。『アメリカ、家族のいる風景』が素晴らしいのはとりもなおさずその愛情がある点で、自動車の修復に象徴される家族の再生と、ハワードが連れ戻されることで西部劇の撮影が再始動するという終わりはその後の幸せを予感させる。旅というホーム(家庭、家族、故郷)を置き去りにする行為は定義上、孤独にならざるを得ないものだけども、『パリ、テキサス』同様、ヴィム・ヴェンダースは旅という行為を経て家庭の再生を描くから感心する。そんで本作の再生の物語はどことなくジョン・フォードの『リオ・グランデの砦』を彷彿とさせる。時代を超えてフォードと『イージー・ライダー』のグランドキャニオンの美しさが本作でもしっかり讃えられていると考えるのはロマンティック過ぎるだろうか。いや、久々に観たけどほんといい映画よこれ。
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