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小さな冒険旅行のmingoのレビュー・感想・評価

小さな冒険旅行(1963年製作の映画)
4.0
湯浅憲明「ボクは五才」は本作の影響を受けているのだろうか。全編セリフなし、「愛と希望の街」と「少年」の間に位置する大島渚の演出において重要な一本。そんな評価たかくないのか、退屈っちゃ退屈かもだけどヌーベルバーグ的な画面と子役が可愛かったので凄い楽しんでしまった。「はじめてのおつかい」のような作りだが後楽園遊園地→神宮外苑→競馬場→浅草→工事中の日生球場と、60年代初期ロケーションが活写されており、リヴェット「北の橋」パリの街並みスクラップアンドビルドならぬ東京スクラップアンドスクラップな雑多な感じが当時の日本を映し出してて良かった。
また豪華大島組と坊やとの絡みもお見逃しなく。父親役に佐藤慶、通りすがりの労働者に浜村純、バスの中のもぎりに加藤嘉、競馬場では小山明子と戸浦六宏がインパクトを残しつつ(ここでの戸浦のコケ方はチャップリン風だったのでよりサイレントらしくて◎)、浅草雷門前のおじさんに日下武史、バス内で合唱指導する教師に小松方正、火事を消す消防士に渡辺文雄と、傑作とは言い難いにしても、小さな演出が積み重なって軽妙な味わいのある小品として成立している。
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