かすとり体力

SR サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜のかすとり体力のレビュー・感想・評価

3.8
私が、適当な活動ではあるがサラリーマンラッパーをしているのもあり(地味にiTunes等でも配信している)、前作が非常に響いたのでワクワクしながら観賞。

いやぁ、良い!!相変わらず良い。

J-HipHopが置かれた微妙〜な立ち位置を「群馬」という地方都市を舞台にすることでととてもリアルに表現している。
(「ブラックカルチャーとしてのヒップホップに対するJ-HipHop」という関係性と「東京に対する群馬」という関係性の構造が非常に近しいという主旨)

また、これも前作に引き続き、「圧倒的気まずさ起因のコメディー」描写がうますぎる。

そしてこの気まずさもJ-Hiphopが本来的に内包している空気感とシンクロしてるんだよなー。
(ただ、ここ数年で日本においてもフリースタイルが隆盛を極め、この受け止めも変わってきているんだろうけれども)

また、本作において描かれるテーマも非常に素晴らしい。

前作は、一応ダラダラとヒップホップを続けている男たちが主人公だったが、本作では「一度完全にヒップホップをやめている」女性陣が主人公、というのがミソ。

しかも、再結成してライブをやろうとするも、結局本作、それすら成約せずに終わるんだよな。

私、元来、子どもたちに真に伝えるべきメッセージって、「諦めなければ夢は叶う」という虚構ではなく、「夢は基本的には叶わない可能性のほうが高いんだけれど、夢に破れたとて、その先の人生って自分次第でめっちゃハッピーに出来るよ」ということだと思っていて。

いやまさに、本作で描かれたのってまさにこういうことじゃん!?

ライブ開催の夢すら破れ、当たり前のように日常に戻るも、その日常の中にヒップホップを引き寄せてFin. めちゃくちゃ良いテーマ!!

最後の葬式のシーンは前作のラストシーン同様、「めちゃくちゃ気まずいコメディーシーンなのになぜか涙が流れちゃう」状況を再現。

ということで、総評としてとても良かった!
次作も良いみたいなので期待!
かすとり体力

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