ペコリンゴ

普通の人々のペコリンゴのレビュー・感想・評価

普通の人々(1980年製作の映画)
3.9
記録。
歪み、壊れていく家庭。

ロバート・レッドフォード初監督作。家庭における深刻なテーマに対して一切茶化す事なくここまで魅せる。非常に真摯な映画だと感じた。

「普通」の定義を問いたくなるほどに、皮肉めいたタイトルを持つ作品だとまずは思う。

外側から見ると裕福で幸せな家庭に見えるであろう一家は長男を水難事故で亡くしている。次男は呵責から精神を病み、母親はそんな次男に明らかに冷たい態度。何とか2人の仲を取り持とうとする父親も強くは出れない。

もう後戻り出来ないくらいに崩壊が進んでいる家族が各々気づく真理は一方では救いであり、他方では無慈悲なもの。平等な無償の愛を否定し、愛されてない自覚がありながらも歩み寄ろうとする者の報われなさを描くドラマに胸が痛くなる。

ラストもいわゆるハリウッドエンディング的なものではないのだけど、それ以上に印象的だ。

「普通」とはなんだろうと今一度思う。
答えは出ないけど、これはこれで誰かにとっては普通なのかもしれない。