しゅん

殺し屋ネルソンのしゅんのレビュー・感想・評価

殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)
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ミッキー・ルーニーとキャロリン・ジョーンズが出会い、酒場の奥の部屋で電球をいじりながらキスするシーン。二人が元の連れ合いであることを理解するまで少し時間がかかった。「(宿に来るときは)ノックをしなくていい」とキャロリンに伝えていたのにノックをしてきたと思ったら警官二人で、罠によってミッキー・ルーニーは再逮捕&死刑宣告されるが列車での輸送時に駅で待ち伏せしていたキャロリンがよろめく演技をする間にミッキーは輸送人を殴って二人は逃亡する。そして、自分を罠に嵌めた男を階段で殺害し、復讐に成功する。酒場で強盗を働いたミッキーは銃で肩を撃たれるが、キャロリンの旧知の医者に助けを求めてことなきを得る。キャロリンに馴れ馴れしい医者に怒りを覚えるミッキーをうつしながら、次のシーンで彼はデリンジャーの一味に参加している。

上記の展開が瞬く間に過ぎていく。この速度(蓮實重彦いうところの経済性)はギャング映画によくあるものだろうが、それにしてもギリギリの切り詰め方で一気に駆け寄る緊迫感にはやられる。急に部屋を荒らす男たち、階段から転げ落ちる死体たちと上に立つ男の影、後頭部を殴りつけての車の強奪、カーブを猛スピード出して曲がる車。どのシーンもが印象的で、その全てがアッという間に消えていく。運命に追い詰められるように狭い場所へ上り詰めていくベイビーフェイス・ネルソン。そのか弱き宿命に共振する存在として、この映画は儚く生きているように思う。
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