arch

戦火の馬のarchのレビュー・感想・評価

戦火の馬(2011年製作の映画)
3.4
馬を撮れば、それは映画なのだという言葉を強く実感させる作品だった。
本作は第一次世界大戦を馬を狂言回しにして、その残酷さを徹底して描く試みになっている。馬は戦場を駆け抜けようとも、美しく人々を魅了する。それは泥がつかないとか、毛並みが綺麗であり続けるとかそういう話では無い。本作に描かれる馬は、気高さや尊さといった人が忘れてはならない信念の象徴だ。ジョーイという馬を中心に、無機質な戦場においてドラマが生まれ、希望が紡がれる。
物語にファンタジーなテイストを持ち込まずには居られないのが、スピルバーグであるからして、本作もまた、「運命」や「魔法」みたいなご都合的かつ"素敵"な物語になっている。戦争を始めとした悲劇的な状況を描く上でそれは、滑ってるようにも感じられることもあり、現に『カラーパープル』はちょっとそういう一面があった。
ただ本作は、戦場の悲惨さを直接に描写することで、その浮き足だちそうな運命的な物語を戦場に結びつけていたと思う。
arch

arch