このレビューはネタバレを含みます
イギリス、デヴォンの小作農一家の少年アルバートに愛情いっぱいに育てられた美しいサラブレッド、ジョーイのお話。
実は今回初鑑賞。ずっと観たかった作品なんだけど、もしかしたら悲しいお話かなと思い、遠のいていたの。馬大好き(乗馬で障害やってたことある)だし、ダメージ大きそう。でもね、ジョーイの演技力にもう、最初から釘付けですよ。(11頭の馬が演じたんだって!そんなに演技派の馬ってたくさんいるの??)
人間の優しさが散りばめられてて、素晴らしい作品。
ジョーイは農耕馬でないのにアルバートが熱心に調教し、荒地を開墾し一家を助ける。しかし悪天候で作物は被害をうけ、上納金のためジョーイは売られてしまう。
ちょうど第一次世界大戦が始まったころで、ジョーイはイギリス軍の騎兵部隊、ジェームズ・ニコルズ大尉(トム・ヒドルストン)の手に。帽子をとり、「大切に扱い、同じように目をかける」と約束する姿にキュン。ジョーイは慣れない環境に暴れるも、スチュワート少佐(ベネディクト・カンバーバッチ)のトップソーンという黒馬と出会う。突撃演習でジョーイとトップソーンが肩を並べて疾走するシーンは、蹄の音も相まって卒倒級のかっこよさ。
そして次々と変わるジョーイの持ち主。トップソーンも一緒に。
ドイツ軍の馬を扱うのが得意な兄弟。
ジャム農家の少女エミリー。
そして、ドイツ軍の鉄砲部隊のフリードリヒ。
その頃、アルバートも参戦してて、塹壕から大砲や弾が雨のように飛び交う中突撃。仲間を大量に失いながら、かろうじてドイツ軍の塹壕へ進むことができるが、毒ガスの攻撃を受けてしまう。
過酷な扱いをされ、トップソーンは息を引き取ってしまう。フリードリヒに逃がしてもらえたジョーイは、張り巡らされた有刺鉄線の柵の中を突き進み、動けなくなってしまうの。もうこの時点で、涙腺がやばい。
イギリス軍のとドイツ軍が双方の突撃の前の静けさの中、白旗を掲げ有刺鉄線に絡まったジョーイを助けに行く兵士。すると反対側から、ワイヤーカッターを持ったドイツ兵が。このシーンで、私の涙腺は崩壊するのです。
あの恐ろしい塹壕からの激戦の後、馬を思いやる国の違う人間が友情を交わすシーンこそ、戦争の虚しさを表してて、涙が止まらないのです。こんなに簡単に友達になれるのになぜ戦わなければならないの。
毒ガスで一時的に視力を失ったアルバート。同じ場所に傷だらけで連れてこられたジョーイ。ジョーイは破傷風を発症していて射殺される直前、アルバートのフクロウの口笛に反応するの….
作中、ジョーイと共に色々な人の手に渡った三角旗も、良いアクセントになってて、色々な伏線もしっかり回収される。
そして特筆したいのは、馬の演技力よ。もう、馬の賢さが存分に表現されてて、本当に素晴らしかった。
馬好きの人にも、そうでない人にも、おすすめしたい。素晴らしい作品でした。今まで観てなかったことに後悔。辛いお話じゃなかった!