Omizu

敦煌のOmizuのレビュー・感想・評価

敦煌(1988年製作の映画)
1.2
【第12回日本アカデミー賞 作品賞他全7部門受賞】
いやー、ひどい。評価の低さは噂には聞いてたけど実際観てみるとなんでこんなものになってしまったのかという虚無感が…

最初は『怪談』『切腹』などの小林正樹が撮ろうとしていて、次に深作欣二になり、最終的に佐藤純彌になったという製作からまずゴタゴタしている。

まず、よかったのは美術、衣装、撮影など技術的な部分かな。少し粗い画面に巨額の予算をふんだんに使った美術や衣装はいい。

それ以外は全部、一から十までまるで褒められた代物じゃない。演出と脚本は本当にドイヒーだと思う。

まず主人公が何をしたいのか最後までさっぱり分からない。なんで敦煌に行こうと思ったのか、なぜ上官の西田敏行とやけに馴れ馴れしいのか、なぜ西田敏行は佐藤浩市に甘いのか、なぜウイグルの姫は佐藤浩市に惹かれたのか、などなど全てにおいて説明不足。ウイグルの姫は突然佐藤浩市とラブラブモードになっていて意味不明だし、身投げする展開も姫側の葛藤が全く描かれないので総じて薄い。

いちいち説明的かつ気の抜けたセリフで脱力感が半端ない。言語が日本語なのは仕方ないにしても、もっと言い方あるだろ!と思うセリフばっかり。

これだけの予算をかけながらこんなヒドイものが作れるのかと逆に感心する。小林正樹、深作欣二ならどんなものを作っていたかと想像すると本当にもったいない。これならまだ『キングダム』の方が全然マシ。
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