いけ

異人たちとの夏のいけのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.3
アンドリューヘイの「異人たち」がとても良かったので、原作のこちらを鑑賞。
俳優としての片岡鶴太郎を初めて見た気がする。
なんかすごく好きになってしまった。
なんてチャーミングなんだろう。

「異人たち」を観てホラー映画みたいだなと思ったけど、原作の「異人たちとの夏」はまんまホラーだった。
「異人たち」は主人公の孤独や不安がテーマだったけど、「異人たちとの夏」は主人公の傲慢さがテーマになっていた。

浅草の今半行きたい。
自分が死んでると分かった上で、両親が面白おかしく冗談言うのが、笑えて泣ける。

甘くないアイスクリーム食べたい。
キャッチボールできたんだ。
ゲイがキャッチボールできないのは万国共通なんだな。
Kの最後のホラー演出は怖いを通り越して面白い。

劇中で繰り返される「過ぎ去ったことは取り返しがつかないというけれど、そんなことはない。誰ものでもない、自分の過去なんだからいくらでも取り返せる。」というのは、主人公が幼い頃に両親を失ったことを大人になって改めて向き合うことを予言してるように感じた。

離婚相手と再婚する予定の仕事仲間というのが面白い。
しかも恋敵的な立ち位置ではなく、最終的に自分を救ってくれる友人になるというのも面白い。
両親との話もいいけど、この2人の友情の話と考えるのが自分は好きだな。

鏡の演出も面白かった。
鏡を見るとゾンビのように顔が真っ青になった自分の顔が見えるという演出は、「異人たち」では電車の窓に反射する顔として繰り返されたけど、全然違う印象を持ったのが面白い。
ただ両方とも、あの世とこの世を繋ぐ象徴として、光の反射を使っているのが面白いなと思った。
いけ

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