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異人たちとの夏の傘籤のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
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アンドリュー・ヘイ監督のリメイク版(翻訳版?)を観る前に久々に鑑賞。この映画を初めてみたのは学生のころで、授業で観たんだよねー。
とにかく父親と母親との交流シーンが良すぎます。夏の日差しが照り付け、ランニングTシャツになりながら家族三人で食卓を囲む場面。昭和の風景、というノスタルジックさも抒情的な雰囲気を盛り立てていますが、それ以上に幼少のころの父と母と再会し、いま現在の自分を見て誉めてもらえるという、あの光景に心を動かされない人は少ないと思います。
なんかむかし見たときはもっとすぐに二人とも消えちゃって、後半は女の幽霊に憑りつかれる話がメインになる印象だったのですが、そうではなく、ふたつの物語を交互に見せていきながら、割と最後の方で父と母にお別れをする、という構成でした。
でもやっぱり女の幽霊との場面が変。いや、あそこだけで切り取るとそこまで変でもないのですが、父母との場面が良すぎる上、色合いも異なっているので後半になるほどアンバランスさが目立ってきちゃうんですよね。メイクやスペクタクルがチープに感じてしまうのはたぶんそのせい。女の幽霊に関する場面だけを見ると決して悪くはないな、とは思います。惜しむらくはそれを無理やり繋げてしまって点でしょう。おそらく父母の場面だけで完成させていたら邦画史上でも指折りの作品になってたんじゃないかな、とそんな気がします。
とはいえその「変さ」は大林宣彦らしくもあり、可愛げに感じなくもない。
総じて、感動するけど惜しい。惜しいけどそこが可愛げにもなってるという、やっぱりちょっと変な映画なのでした。
さて、それではアンドリュー・ヘイ版を観てきますか。
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