木元

異人たちとの夏の木元のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.3
面白かった。離婚したシナリオライターの主人公が、ある時死んだはずの両親と再会する。時を同じくして同じマンションに住む女性が、酔って訪問してくる。三者と交流していくホラー風味の人情ものっぽい内容。
両親とは約30年ぶりに再会したため、主人公である原田はすっかり親との交流にのめりこんでしまう。この両親がまた良い人たちで、やり取りにほろりときてしまうところがいくつかあった。「自分を大事にしろ」とか、「お前はすごい奴だ」とか、自己肯定感を高めるセリフを中年である主人公に投げかける姿に不覚にも涙してしまった。現代にも通ずる普遍性のある素晴らしいシーンだった。
また、ヒロインとの交流も良かった。自分が余裕のないときは、どうしても他者に冷たく当たってしまうものだ。しかし、そんなときこそ他人に優しくできる強さを身につけたいものだなあとしみじみ思った。妖しげな濡れ場に目を奪われがちになるが、ここも普遍性のある内容だと思った。
総じて、怖さと優しさが共存した素晴らしい映画だった。100分ちょっとで終わるし、おすすめです。
2024/5
木元

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