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異人たちとの夏の盆栽のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.8
もし死んだはずの人が突然目の前に現れたら貴方はどうしますか?


 現在公開中『異人たち』のオリジナル版であり、山田太一による同名小説の初映画化。これがあまりにも異質すぎる感動作であり、本ポスターにも記載されている通り怪談的な怖さに襲われるファンタジー作品。

 主人公が死んだはずの両親と会話するシーン。会話の内容は何気ない、普通のものなのに傍から見たら不自然極まりない。幸せそうな顔をしている主人公をただただ観続けることしかできない観客は、いつしか主人公に対して「ハッピーエンドで終わってくれ」という感情が芽生えてしまいます。

 ですが、そんな甘くいくものではない。中盤からは本作にホラーテイストが加わり、死人がもたらす代償を憐れみと共に描写しています。特に終盤のマンションで起きた出来事は本当にただのホラー映画でかなり怖気付きました。なのに悪い人が誰一人本作には登場しないからこそ、余計に悲しく切ない思いになります。

 夏の湿気がすごい日に観たくなる映画です。すき焼き食べたい。

2024.5.3 初鑑賞
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