酢

砂の上の植物群の酢のレビュー・感想・評価

砂の上の植物群(1964年製作の映画)
3.5
難解な脚本は、つまりは「中年男のエロエロ夢物語」に過ぎない。物語を真面目に見る必要はないと思う。時系列の撹乱も途中途中の謎めいた挿話もあんまり意味ない。

それよりも、次から次へと繰り出されるオモシロ演出の数々に目を見張ってほしい。陰気なムードに寄りかからず、常に何か仕掛けてくる姿勢が素晴らしい。タワーの頂上の幻想的な雰囲気から始まり、小池朝雄の痴漢、男三人での視姦、鰻、処女喪失をクレーの絵画とだぶらせるキモ表現、レストランの静けさの表現、エレベーター……どれもサイコー。「なんとなく見てて楽しい」でしかないけど、それを突き詰めてる。中平康の演出ギミックの玉手箱や。
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