湯っ子

砂の上の植物群の湯っ子のレビュー・感想・評価

砂の上の植物群(1964年製作の映画)
3.6
10代の頃、挿絵が幻想的で心惹かれ、図書館で借りて帰った本を見た母親に、あんた吉行淳之介なんて読むのと言われたことを思い出す。内容はほとんど覚えてないけど、実際読んでみたら本当に奇妙でえっちな本だったから、ああなるほどそういうことかと思った。そんなかすかな記憶だけども、朧げながら私の中にある吉行氏の小説世界のイメージを映像化していて、ぐっと引き込まれた。
タイトルにもなっているパウル・クレーの抽象画、急に音がなくなりパクパクと動く唇、闇の中で光る6つの目玉、亀甲縛りとベートーヴェン。
ミソジニーかつ女好きな主人公はたぶん、吉行淳之介そのもの。おっさん同士が痴漢のロマンをおおまじめに語るシーンにはおいおい…と笑うしかなかったよ。中谷昇が若くて、私の知ってる姿となかなか一致しなかった。
湯っ子

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