半兵衛

砂の上の植物群の半兵衛のレビュー・感想・評価

砂の上の植物群(1964年製作の映画)
3.3
吉行淳之介の原作を再現しようとしたら、変なエロチックの世界に到達してしまったような印象の作品に。それでもSMやコスプレ、言葉責め、痴漢といった変態チックな小道具がエロスを盛り上げる展開は10年後に製作される日活ロマンポルノの予兆を感じさせるし、女とやりたいだけなのに何だかんだと哲学めいたことを言って論理付けようとする主人公のスタイルは脚本で参加した加藤彰や神代辰巳などが出掛けた作品に受け継がれている。

何よりメインのヒロインである稲野和子と西尾三枝子の二人がエロいのが最高、二人とも全裸は披露していないけど部分的に見せる体のパーツは色気があり顔も凄いエロチック。

中平監督の演出も顔のアップや体のアップなど魅力的な部分をフェティッシュに撮って男の欲望的映像を構築する、あとエロな体のパーツを直接表現できない分鰻や引用される絵、時折挿入される赤のイメージで間接的に表現しているのが多少芸術ぶっているのが鼻につくけどどぶろっくっぽくてこれはこれで味わいがある。

中平監督やカメラマンによる映像センスも冴えまくっていて、モノクロなのに太陽の眩しさとその色を感じさせる日差しのショットに痺れる(覗き部屋の変なショットは笑ったけど)。それに満員電車をあえて体をのけぞる女性一人だけで逆説的に表現してしまうセンスは嫌いじゃない。ラストのエレベーター付近で仲谷昇と稲野が抱き合う場面の開閉するエレベーター、エキストラの大群、変わる背景といった一歩間違えればギャグになりそうなパーツを作品の世界観を壊さずエロチックな映像に仕立てる手腕も凄い。

そして稲野和子の熟女JKコスプレのインパクト。

ちなみに個人的には眼鏡をかけた小池朝雄がシソンヌの長谷川、稲野がみちょぱこと池田美優に似ているように感じられてツボに入ってしまった。
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