イライライジャ

チェイシング・エイミーのイライライジャのレビュー・感想・評価

チェイシング・エイミー(1997年製作の映画)
4.0
ウ…これは……相手の過去に執着する非モテ童貞性悪ガチキモオタクにブッ刺さって絶望して死ぬ…。

漫画家の男がレズビアンの女に猛アタックして付き合うが実は過去にとんでもないヤリマンだったと知る話。
本気で愛を語っていたのに男と性経験豊富と知るや否や軽蔑し出す。恋愛において“あるある”な相手の過去への執着と、それとどう向き合うかの葛藤。

一方的な愛欲でバグった人間の心理が巧妙。
推しアイドルに恋人発覚で「処女じゃない!」と発狂するキモオタとかそういうのに通じる痛々しさが本作にはある。
私は女だがベンアフと全く同じ気持ちで全く同じ提案をしたことあったから見事に心死んだ。もちろんドン引きされた。

“レズビアンをチンポで矯正”とも捉えられる本作の同性愛描写が批判されていて、ケヴィン・スミスも認めている。でも個人的にはあまり問題には感じなかった。あくまでベン・アフレック演じる主人公がそう思ってるように見える。

そもそも彼女が何故レズビアンになったかも汲み取らずに突き放すような主人公は不誠実極まりない。彼女視点だと本当に最悪な男。ラストが切なくて泣けるのだが、現実だとありえないラストではある。しかし、この非モテ男のキモイ妄想感溢れる結末含めて大傑作。

ちなみに『ジェイ&サイレントボブ リブート版』で2人のその後が描かれている。