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昭和残侠伝 唐獅子牡丹のbluetokyoのレビュー・感想・評価

昭和残侠伝 唐獅子牡丹(1966年製作の映画)
3.0
弟分の結婚と引き換えに、左右田組が出した条件は、榊組の組長を殺せということだった。
花田秀次郎は、仕方なく引き受け、なんの恨みもござんせんが、と言って刺し殺す。
刑務所に入って7年、シャバに出てまず向かった先は、榊組組長の墓。
そこに偶然、居合わせた榊組組長の妻、八重と息子の幸太郎。
花田秀次郎は、自分が殺したとは言い出せず、その場を去る。だが、残された八重、幸太郎が心配だし、組長を失った榊組も気に掛かるのだった。
この葛藤がきめ細かく描写されている。
八重が病に倒れて、看病する花田秀次郎、そのとき、ついに、あっしは、この家の敷居を跨げるような人間じゃ、ござんせん、と言い、自分が榊組組長を殺したことを告白する。
しばらくして、榊組の幹部、畑中圭吾が帰ってくる。
花田秀次郎と畑中圭吾の決闘。八重が駆け付けてきて、割って間に入り、決闘を止めさせる。
八重は、花田秀次郎を許したのであった。
そんなとき左右田組は、いよいよ榊組を潰しに掛かってきた。
花田秀次郎と畑中圭吾は、榊組に殴り込みをかけ、壮絶な戦いの末、左右田組を滅ぼした。
だが、花田秀次郎は、やはり、この土地を後にするのであった。見送る八重と幸太郎。終わりである。
それにしても、八重を演じた三田圭子さんは美しい。
花田秀次郎の葛藤、八重の葛藤、榊組の組員たちの葛藤、あるいは、ことの発端だった弟分の葛藤、これだけ、葛藤を前面に出している。
左右田組を全滅させても、この葛藤がなくなるわけでもなく、心の底に悲しい情感となって降り積もっていく。
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