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コンスタンティンのbackpackerのレビュー・感想・評価

コンスタンティン(2005年製作の映画)
3.0
現在の映画産業におけるDCコミックスは、正直、マーヴェルコミックスに大きく水を開けられています。
一つの理由としては、DC映画には、暗い雰囲気の作品が多いことがあげられます。
二台巨頭にして看板キャラクターであるバットマン、アメコミ映画の火付け役の一角(Xメン、スパイダーマン、ダークナイトトリロジーが、近年のアメコミ映画ブームの起こりとした場合)を担ったこの男が、最高水準で暗いやつなんですから、至極当然ではあります。

さて、本作『コンスタンティン』も、そんな暗〜いDCコミックスの映画化作品の一つ。
主演は脂が乗っていた頃のキアヌ・リーブス。
細面で鼻筋もスラッとした、まさしくイケメン。
そんな彼の演じる主人公ジョン・コンスタンティンは、いわゆるエクソシスト。彼の除霊は、メリン神父やカラス神父もビックリの武闘派スタイル。要するに、悪魔どもはとっと殺るに限るわけです。

武闘派エクソシストのコンスタンティンは、人としては最低の部類に近く、周囲への態度は横柄です。
その上、15歳から1日30本以上喫煙するベビースモーカーが祟り、重度の肺ガンを患っています。

彼には、昔から人ならざるものが見える体質だったため、両親は治療に躍起となり、幼少の彼を電気ショック療法にかけ、結果、一時的に絶命してしまったという過去があります。
これが自殺とみなされ、地獄行きが確定しているのです(自殺は大罪のため、地獄に落ちねばならない)。
神や悪魔の存在を認識したことが原因で、天の国は遠く離れてしまう。とんでもない皮肉ですが、地獄に行きたくなので点数稼ぎのためにするようになったこと、それがエクソシスト業なわけです。

映画としては、はかなり構図に拘っており、カット一つひとつがコミック風で、コマ割りをかなり意識しているように見えます。
調べておりませんが、コミックそのものを絵コンテにした『ウォッチメン』に通ずるものが感じられますので、案外影響を与えているかもしれません(同じDC作品ですしね)。
と言っても、コミックのビジュアルをそのまま映画にすることを試みた『ウォッチメン』と比べて、同様にダークな作風ではあっても、娯楽性は遥かに上でしょう。
登場するアイテムもなんとも厨二臭くカッコいいですし、ティルダ・スウィントンの冷たく中世的な備忘もカッコいい。
まだどこか幼なさが残るシャイア・ラブーフですら、なんだかカッコいい。
散りばめられたネタを、さりげなく回収していく淡々とした感じもカッコいい
エンドロール後のオマケ映像ですらカッコいい。
そもそもキアヌがめちゃかっこいい。
いちいち全部カッコいい!笑
派手な演出、派手なアクション、派手なキャストの派手目な布陣が、圧倒的カッコ良さを担保してくれて、娯楽性は十分です。

余談ですが、クライマックスのバトルにて、スプリンクラーから聖水を噴かせて、ハーフブリード供を苦しませるシーン。
同じくダークな作風のマーヴェル映画『ブレイド』が連想されて、凄くイイ演出でした。
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