半兵衛

昭和侠客伝の半兵衛のレビュー・感想・評価

昭和侠客伝(1963年製作の映画)
2.5
石井輝男監督作品ということで期待すると、あまりにも平凡な出来栄えの任侠映画なのでちょっとがっかり。まあ石井輝男監督はふざけたりインモラルな映画は得意だけれど、こういうコテコテな内容を美学として昇華していくというのは苦手な作家なのでしょうがないとも言える。

話の構成は主人公の所属する組が桜組だったり、親分はアラカンだったり愚連隊が絡んだりと実は『女王蜂と大学の竜』とよく似かよっていたりする、石井監督の任侠作品は他に『怪談昇り竜』や『決着』など話の内容は基本的に変わらないので意図して使い回しているのかも。

それでもリアルに汚い便所の描写や大正時代の浅草の風景に輝男イズムが感じられて味わいがあったり、ヒラミキの悪役や真面目な内田良平など珍しい配役の妙がちょっと面白かった。

あと組のために良かれと考えてアラカンを襲撃した組に謝罪させたのに清廉すぎる親分にそれで怒られて追放され、それでも組のために尽くしていく鶴田浩二が不憫。
半兵衛

半兵衛