カルダモン

わたしは目撃者のカルダモンのレビュー・感想・評価

わたしは目撃者(1970年製作の映画)
3.5
遺伝子研究所の博士が列車に轢かれる事故が発生。しかし一枚の写真から事故ではなく殺人事件の疑いが浮かび上がり、元新聞記者で盲目のアルノと、列車事故の記事を書いたジョルダーニが二人三脚で真相に迫る。

原題は『Il gatto a nove code(=九尾の猫)』。わざわざ『わたしは目撃者』という超つまらなそうな邦題をつけるセンスを疑う。ちゃんとジャケにもかわいい九尾のネコちゃんが描かれているというのに!(ちなみに九尾の猫はモノの例えであって、化け猫が出てくるわけではない。残念!)

真相へ近づく9つの手がかりがタイトルの由来になっているのだけど、具体的な手がかりがなんなのかちゃんと教えてくれないのでよく分からない。XYY染色体というのがひとつのキーポイントになっているのだが、ネタを明かされても納得度は低いし顛末もボンヤリ。

今をときめくダリオ・アルジェントの長編二作目(1971年)で、いわゆるアルジェント節が炸裂する以前のサスペンススリラー。しかしながら盲目でサングラスの人間が出てくるし、意味なくデコラティブなインテリアが散見されたりしっかり芽吹いている。改めて見ると写真を現像する暗室のシーンはダリオカラーの源流を見るようで楽しいです。

音楽が印象的、と思ったらエンニオ・モリコーネの仕事でした。流石。

ところで「九尾の狐」と「九尾の猫」のルーツは一緒なのかしら。調べればすぐに答えが出そうだけど調べていない怠惰。