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昼下りの決斗のほーりーのレビュー・感想・評価

昼下りの決斗(1962年製作の映画)
4.6
【二人の老ガンマンに捧ぐ鎮魂歌】

バイオレンス映画で一世を風靡したサム・ペキンパー監督の出世作。ただ当時この映画思ったほど収益をあげなかったという。

往年の二大スターを競演させるという企画っていつ頃からあったかわからないが、大体が企画倒れで宣伝の割にはさほどという印象。

だけど、本作は見事にランドルフ・スコットとジョエル・マクリーの二人のスターのキャラクターを十分活かした傑作だった。

あ、そういえば同年にジョン・フォードの『リバティ・バランスを射った男』というウェイン&スチュワートの二大スター競演映画があった。こちらも古き西部の時代のレクイエムという感があった。

かつての元保安官(演:ジョエル・マックリー)が久しぶりに昔の相棒(演:ランドルフ・スコット)と組んで、銀行から金塊輸送の仕事を引き受ける。

しかしスコットの方は、金山から運ぶ金塊をそのまま横取りしようと企むのだが、旅の途中で出会った若い娘(演:マリエット・ハートレー)を金山へ一緒に連れていったことで、事態は思わぬ方向へ進むというストーリー。

ずっと昔に観たときは、マクリーが悪役で、スコットが善人役の印象だったが、久しぶりに観たら逆だった(とは言うてもスコットもイイ人なのだが)。

二人の顔を比べると、柔和な表情のスコットに対して、マクリーの方が非情さがあるからそう感じたのかもしれない。実際、本作のマクリーの役柄も善人だが仕事に対してシビアなキャラクターとして描かれている。

そしてかつての西部の男たちの老いの哀しさもちゃんと描かれている。もも引き姿で昔の女の話をするシーンはちょっとした場面だが二人の芝居がとても良かった。

また本作の紅一点であるマリエット・ハートレーは正統派美人系ではないが素朴で不思議な雰囲気があって印象に残る。

その彼女をめぐって主人公たちは五人兄弟の悪党と闘うのだが、これらを演じているのがウォーレン・オーツ、L・Q・ジョーンズ、ジョン・デイヴィス・チャンドラーと一度ツラを見たら忘れられないような面々。

ウォーレン・オーツなんて初登場シーンでいきなり肩にカラスのっけて現れて如何にも不気味。もう既にこの頃からペキンパー監督から特別扱いを受けてる感じがする。

その反面、リーダー格のジェームズ・ドルーリーの方が顔が整いすぎて、オーツらと並んでいると印象が薄く感じる。

そして晩秋の寂しさを感じさせるようなラストの決斗シーン。主人公らも悪漢らも正面から正々堂々と闘う姿が素晴らしい。

これぞいぶし銀の魅力というやつ。

■映画 DATA==========================
監督:サム・ペキンパー
脚本:N・B・ストーン・Jr
製作:リチャード・E・ライオンズ
音楽:ジョージ・バスマン
撮影:ルシアン・バラード
公開:1962年6月20日(米)/1962年7月14日(日)
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