高橋早苗

単騎、千里を走る。の高橋早苗のレビュー・感想・評価

単騎、千里を走る。(2005年製作の映画)
3.3
・・・10年 音信不通の息子
入院したと知り
会いに行く父

面会を拒絶する息子と
嫁が渡す ビデオテープ
「仕事ぶりを 見てください」


民族学者の息子が単身 中国へ渡り
撮影しようとした仮面劇
その踊り手・李加民と 息子の間で
交わされた約束
「来年 また来ますよ」

・・・息子は病院の中だ
何かしなければ…
田舎町の漁師である父親が
おそらくは 初めて聞いたのだろう
「単騎、千里を走る。」
・・・それが何かすら 知らないまま
一人中国へ渡る


☆☆★

・・・自身が 告白するとおり
きっかけが
欲しかっただけなのかもしれない。
仲直りのきっかけ・・・

★★☆


旅は、予定どおりになど進まない
ビデオで見たその町に
李加民はいなかった

あることで刑を受け
2~3年は出られないという
刑務所まで撮影に行く と言っても
「前例がないから 認められない」は
お役所の決まり文句
(コレ、全世界共通?)


諦めきれない
しかし言葉も満足に通じない
うまく説得もできない

父は うまく言えない自分の気持ちを
カメラの前で語り ガイドに訳してもらう


「なんで 直接来て話さないんだ?」といぶかしむ
役人達の表情が 変わっていく・・・


☆☆★


高倉健て「なれる」人ね。
役を「できる」のではなく
役に「なれる」人。

漁師役のわりに
漁のシーンなんかなかったけどw
「おいっ、いきなり一人で中国?
 撮影に来ましたって、カメラ扱えんの?」と
観客に真面目に心配させるようなとこがね(笑)


もうひとつ言うなら、
ハッピーエンドの似合わない人。

覚えている限り、手放しで喜べるラストに
お目にかかったことがない。

もう、どうしようもなく変えようもない状況になって、
それでも黙って、それを受け入れてく
そんな印象。


人は、きっかけを待っている。
何かを終わりにし
何かを始めるきっかけをね^_^

映画タイトルでもあり、
息子が追い、叶わず
父が追う、李加民が踊る仮面劇
「単騎、千里を走る。」は
三国志の有名な話『千里走単騎』


…曹操の手に落ちても、劉備への義心を失くさず
「恩は返した」と単騎、劉備のもとへ
劉備の妻子を連れて帰る
名馬・赤兎は一日にして千里を駆ける…というお話


息子が叶わなかった仕事を
代わりに…と駆ける父はまるで
忘れていた義心を通そうとするかのようね^_^


結局、最初の思惑どおりにはいかなかったね。何ひとつ。
・・・ひとつだけいったかな。
何?って人は観てね。

“ヤンヤン”可愛いよー。
あの“笛”アタシにもおくれ。
高橋早苗

高橋早苗