ほーく

バガー・ヴァンスの伝説のほーくのレビュー・感想・評価

バガー・ヴァンスの伝説(2000年製作の映画)
2.9
蔵出しレビュー。
時は、2001年3月1日

【比喩表現】
例え話も度が過ぎると。

邦題「バガー・ヴァンスの伝説」
原題「The legend of Bagger Vance」


試写会にて鑑賞。3/3~MOVIX倉敷で上映。


評者 ほーく
評価 2
ひとこと 実に説教くさいし、ひねりのない比喩の嵐に失笑。


<コメント>


 臭い。とにかく説教くさい。試写会で観といて言うのもなんだが、これを映画館で観る必要はさほどないな。
 まず、これは人生についての教訓をひたすらゴルフに喩えてアピールする。そう、ゴルフとはスコアを自己申告する競技であり、ごまかすかどうかは本人次第だ。また、個人競技のため、他人に責任転嫁することができない。また、複数で勝負する場合、かけひきも必要だ。さらに、欧米では特に、生涯続けてプレーできる競技だ。
 つまり、人生そのものだ、といいたいのだ。その比喩は確かに欧米、特にアメリカでは分かりやすい比喩だろう。しかし、それはあくまでも「紳士のスポーツ」といわれるゴルフ経験者にしか分からない比喩だ。


 わたしは、よく友人と人生を麻雀での出来事に喩える。麻雀こそ、複雑でかつ比喩に用いやすい「競技」である。頷いてくれる人も多いと思う。麻雀仲間では、よくそんな喩えを使うからだ。
 つまり、人生での様々なアドバイスは、身近なことでできるってことだ。それをゴルフを題材にした理由は簡単。それが絵になるからだ(笑)。昔、麻雀放浪記って映画もあったけどなあ。ま、ありゃ小説のほうが数万倍いいんだが・・・。


 とにかく、ロバート・レッドフォードというひとは最近、特に説教臭い。「モンタナの風に抱かれて」とか、「クイズショー」とか、「リバー・ランズ・スルー・イット」とか。どれもこれも人生の岐路に立つ者がおり、挫折を味わった者たちにあふれ、そこから再生していく過程を描く。そして、しゃべる台詞がこれまた臭い。穏やかに話しているが見事な押し付け説教だ。で、今回もそのパターンだったってこと。


 スポーツ、特に勝負を題材にすると展開ってのはほんの数パターンしか残らない。挫折し、復活し、調子に乗りすぎて失敗し、疑心暗鬼になり、そこから己の力で再生を果たす。最後に勝利するかどうかは、その脚本家しだい。というか、その作品の根底にあるものとリンクさせなきゃ駄作。そういう意味では辛うじて、辻褄は合っている。しかし、駄作は駄作だ。いまさら、こんな作品を世に送り出してもしょうがないだろう?もしかして、悩めるおれたちを救ってやろうというそういうありがたいお慈悲かい(笑)


 でも、悔しいことに撮る絵はきれいなんだ・・・。
 「リバー・ランズ・スルー・イット」のあの河の流れ、フライフィッシングの円運動。「モンタナの風に抱かれて」のあの雪一面でのカット。どれが画面で映えるかを熟知している。だから、その説教くささだけどーにかならんか・・・。
ほーく

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