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MEMORIESのyaotomoのレビュー・感想・評価

MEMORIES(1995年製作の映画)
4.5
1秒にも満たない一瞬にも妥協のない描き込み。ただ絵が精密で動作やカメラワーク、構図が面白いだけではなく、映画としてストーリーもセリフも音楽もとても良いものになっている。
各エピソードは40分程で長いとは言えないはずなのに100分級の見応えのあるモノばかりだった。時間的な制約があるのにも関わらず、展開と展開を繋げる絶対に無ければならないシーンとは言えないモノも削られていないためだと思っている。
これらが削られてしまうとテンポが早すぎて物語としての厚みがなくなってしまう。
物語とシーンが小さな箱の中でみっちりと、整然と詰め込まれていて、その収納術には感動してしまう。

緻密に書き込まれたアニメかつ映画を観たという余韻に浸りたい人にはおすすめしたい。趣味趣向関係なく多くの人が楽しめるアニメ映画だった。

何度でも見たい。

「彼女の想いで」
むさい男たちの会話、汗や油、メカメカしい近未来の機械達と、ソプラノ美しい歌声、美しい宮殿、想い出と決別できない悲しい女性の話といった全く真反対の要素が混じり合い、調和された美しく悲しい物語になっている。

「最臭兵器」
現代。といっても90年代中頃の日本を舞台に繰り広げられる臭いパニックもの。
普段は目にも留まらないモノが緻密に、リアルに描かれると興奮してしまうのは自分だけでないと思っている。音楽はマルサの女2、スーパーの女などのOSTを思わせる
サンバ調?なモノで痛快で、日本中を混乱させるドタバタなストーリーにとてもマッチしていた。町中が、日本中がパニックになり、都市の機能が破壊されている様、
大ごとになって自衛隊や米軍も登場し、
戦車や戦闘機がドカドカ爆弾を発射するシーンはそれはそれはワクワクする。
目が楽しいと言えるエピソードだった。

「大砲の街」
三作品の中では最もポップな作品。
絵本のようなタッチのキャラクター達が、大砲を中心に社会が成り立っている架空の国の日常を描いたスチームパンクファンタジー。旧ソビエトなど、かつての東欧の薄ら暗く、閉塞感のある世界の中で、変わらぬ毎日を送っている。
カットを割ることなく連続してシーンが展開されるので、目が釘付けになる。
大砲を装填するシーンを見て思ったのは、
仕組みまで考えた上で道具が描かれていること。直接的には描かれていない、見えない部分も考え抜かれていた。
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