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けものみちのENDOのレビュー・感想・評価

けものみち(1965年製作の映画)
4.0
淳子さんのファム・ファタールものかと思ったら良のオム・ファタールものでした!とことん黒い社会派ノワール!フィクサー小沢栄太郎の周りに"犬馬の労"で仕える財界や政界の面々。脳軟化症の夫を焼き殺して吊り眉になる淳子さんは、メフィスト良の斡旋で同じく脳軟化症の栄太郎の愛人に!栄太郎のため手を汚すことで出世した雄之助は実働部隊。プロット複雑。公私混同でミクロとマクロが自由自在。
女中に追いやられた大塚道子は巨大なブチ犬を抱いて2人の情事の間、悶えるしかない。耐えきれなくなった道子は淳子さんと茶室で暗闇キャットファイト!嫉妬に狂った道子は栄太郎毒殺未遂の罪(実は栄太郎の敵対組織に買収されてた)で粛清される。
権力の闇に切り込む桂樹。正義漢かと思いきや淳子さんを強請って手籠にしようとするクズ刑事。知りすぎたせいで結局馘首に。ネタも新聞社に拒絶され、ニューロティック桂樹は個人的に調査を継続するも、小松方正によって暗がりに誘導され、ウルトラマン黒部進に暗殺される。怖すぎ。
栄太郎は日本中の暴力団組織を一つにまとめ自家薬籠中にしようと目論んでいたのだが、完遂間近に死亡。栄太郎の跡を継ごうとした雄之助は即暗殺。
戦前はアカで大きな挫折を味わった良は厭世的で人生楽しくなさそう。悪びれる様子もなく敵対組織にお客を売り渡す。そして淳子さんを殺した進ごと燃やして笑い惚けるラスト!初めての笑顔じゃん!戦慄!
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