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L.A.コンフィデンシャルのYYamadaのレビュー・感想・評価

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)
4.1
なぜ?【アカデミー未受賞の大傑作】
第70回 (1997) アカデミー作品ノミネート
◆同年のアカデミー作品賞作品
 『タイタニック』

〈見処〉完成度が高いサスペンス!
①現在の「フィルム・ノワール」大傑作
・フィルム・ノワールとは1940~50年代にアメリカで製作された退廃的な犯罪映画。
・舞台は、まさにフィルム・ノワールな1950年代のロサンゼルス。マフィアの幹部逮捕や元刑事を含む6人の惨殺事件に対し、ロス市警の3人の刑事の捜査に従い、暗黒街と接点を持つ警察内部の腐敗に直面する。
・複雑な群像劇を丁寧に描いた本作は、伏線回収の演出・ストーリー・キャスティングのいずれも一級。優れたサスペンス要素は新鮮で、現在の目の肥えた鑑賞者も強く惹き付ける魅力がある作品。

②出世作でもある
3人の刑事は、その配役に非常にマッチした新鋭俳優を起用。
・同僚思いの熱血漢で、肉体派の殺人課刑事には、ハリウッド作品初出演となるラッセル・クロウ。のちに『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞に輝く契機となる出演。
・出世欲が高い大学卒のエリート警部補はガイ・ピアース。『メメント』主演となる前の飛躍の出演。
・すでに『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー助演男優となったケヴィン・スペイシーは、収賄を拒否しない硬軟あわせ持った麻薬課の刑事を演じる。

③なぜ、作品賞をとれなかったか?
・同年のショーレースでは、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞で作品賞に戴冠。第70回アカデミー賞においても9部門にノミネートされ、作品賞の最有力候補に位置。
・しかしながら、『タイタニック』が前例なき大ブームに乗った世論にて、史上最多タイ記録となる11部門を受賞。
・本作の受賞は助演女優賞と脚色賞の2部門に留まったが、世論に左右されず、作品の完成度にて選考がされていたとしたら、本作が戴冠していたであろう。
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