パラグライダーと共に、今ではスカイスポーツとしてすっかり定着したハンググライダー。アクション映画でもよく使われるのでご存知の方も多いと思いますが、このハンググライダーを初めてアクションのメインに据えて1976年に制作されたのが「スカイ・ライダーズ」です。ギリシアで誘拐されたアメリカ人実業家の妻と子供たちを救出するために、別れた前夫がハンググライダーでテロリストたちに挑むという本作。主人公は「荒野の七人」で寡黙なナイフ使いを演じたジェームズ・コバーン。誘拐される妻に「わが命つきるとも」のスザンナ・ヨークという地味ながら、なかなか味のあるキャスティングです。さて、この作品の一番の見所は救出作戦の舞台となるテロリストのアジトをギリシア北東部にある景勝地メテオラに設定した事でしょう。とにかく断崖絶壁とはまさにこのこと、屹立する巨岩の頂上に建てられた修道院は、本当にハンググライダーでなくては近づけないような難攻不落の要塞なのです。ネットで検索して頂ければ直ぐに画像を観ることができますが、その景色は筆舌に尽くし難い迫力、本作ではこの絶景の地を舞台に切れ味鋭いスカイ・アクションが繰り広げられます。この年は本作と前後して「スカイ・ハイ」という映画が封切られました。“ジグソー”の主題歌で有名なこの作品はホンコン製のカンフー・アクション、ハンググライダーは少ししか出てこないのですが映画の内容以前に主題歌が大ヒット！本作はその煽りを受けて興行面では良い結果が出ませんでした。スカイアクションとしてのスケールも、映画の内容も、なかなかの出来映えだっただけに残念でしたが、今はその魅力をDVDでじっくりと楽しむ事ができます。なお、この映画の公開から12年後の1988年、メテオラは世界遺産に登録されています。
