イライライジャ

ボクシング・ヘレナのイライライジャのレビュー・感想・評価

ボクシング・ヘレナ(1993年製作の映画)
2.8
ジェニファー・リンチの映画は先日少年を監禁する「チェインド」を観てなかなか好きだったから期待してたけど私の好きなのではなかった。
一度寝ただけの愛する女への覗き行為が加速し、ストーキング行為へ。しかしヘレナは全くの脈なし。車に轢かれたヘレナが次に目覚めたときは両脚がなく、主人公の自宅に監禁されていた。
というのがあらすじ。
かなりエロティックで変態的なストーリーと思われるが、如何せんヘレナが高飛車お嬢様ゆえ変態要素減。
「下手くそ!早漏!」みたいに馬鹿にされたり、「死ねばいいのに」と言われたり、主人公の方が可哀想に見えてくる始末。
ついにヘレナの両腕まで切り落とし、ダルマ状態にするが性格に変化なし。
下手くそセックスを挽回する為にわざわざヘレナの前で女とのセックスを見せつけ、「結構うまく出来たよ!」と自画自賛する主人公がかわいい。
わりとつまらんなぁ、はよ終わらんからなぁと思いつつ観ていたのだが、ダルマになったヘレナに主人公がメイクを施し髪をとくシーンや、ヘレナの膝に顔を伏して(もしあるとこうなるはずの)ヘレナの手が髪をサラサラするシーンがすごく良い。
ヘレナにとって主人公はいなくては生きていけない存在と徐々に変わりはじめ、映画も最も盛り上がる。
「こんな醜い姿に」
「今でも美しい」
この会話には心打たれる。
思えばミロのヴィナースは両手がないからこそ魅惑的なのだ。

のに、まさかのオチ。
このオチは全てを覆す残念なオチだと個人的には思う…。
もういっそヘレナ自ら「私の両手足を切って」とお願いする続編を作ってほしい。