ラサ

MOOSIC PRODUCTS!/サマーセールのラサのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

セルフドキュメンタリーって言葉に甘えすぎてるように最初は思ったけど、なんか、撮るだけで価値が生まれてしまっててすごかった。資料的価値が一点。そしてこれですら彼女らが生きていた証になってしまうという点。記録と記憶、映像・動画を撮る意味って、それだけでも十分。とはいえ、公開にこぎつけるまでの悪戦苦闘を考えると、やっぱり撮るだけではダメなんだろうなあ。動画が映画へ飛躍するのに必要なのはなんなんでしょう。

こんな暴力的な自分勝手な失礼な作品(「大森さんって俺のこと好き?」と聞いてしまう意気地の無さ!「俺は好きだけど結婚したいとかの好きではない」という意味不明さ!)ってあんまり見たことないんだけど、それゆえにこれを世に出した大森靖子の寛大さと「男気」と野望がその裏に見えるから、ギリギリのところでこの作品は救われてる。

何かやりたいのに一歩が踏み出せないザーメン臭い少年少女(少女だってザーメン臭くていいし臭いはず)が見たらカメラなりギターなり持って街に出たくなるに違いない。どんなに弱くていやらしくて孤独でも、カメラやギターがあれば人はここまでやれてしまうということを、この映像は伝えるから。

「マジックミラー」のMVを見た後でこれを見たから、その落差にやたらと悲しくなった。
アルタ前で歌っても、「PINK」を絶叫しても、奇異なものとしてしか見られない聞かれないそもそも見向きもされない聞かれもしなかった大森靖子。やっぱり「マジックミラー」のような歌をうたわないとみんな聞いてくれないんじゃないか。大森靖子は弾語りのほうがいいなんて、気安く言ってんじゃねえよってんだ。
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