月うさぎ

ミッション:インポッシブル2の月うさぎのレビュー・感想・評価

4.5
本音で語りましょう。私はM:I:2が大好きです。シリーズの中でも一番記憶に残ってるし、何より初めて本作を観た時の驚きと感動も大きかったのです。本作の評価が低いのが不思議で仕方ありません。だからちょっと弁護してみます。

トム・クルーズの顔芸が凄い。
いきなり偽イーサンからの登場ですが、明らかに悪者顔で、最初トム・クルーズってこんなに人相悪くなったのか?!と思ったのですね。笑い方と目つきを変えてるんですよ。
冒頭から物語世界に引きずり込まれるスピード感のある構成は見事です。

そして映像の美しさ。クリアで明るい見やすい画面に、スローモーションを多用する事で、何が起きているのかがしっかり伝わります。速さで誤魔化さないアクション。
アップやロングを自在に駆使したカメラワーク。特にカンフー的な格闘シーンではトム自身の体を使った演技を堪能できます。

ジョン・ウー監督は役者によってスローモーショ ンの速度を変えているそうで、ト ム・クルーズは120コマと決めていると言います。動きがとてもエレガントなので「それをスクリーンで効果的に見せるにはスローモーションしかない。」との事。動きがエレガント!その通りなんですよ!トム・クルーズの身のこなしの美しさに目をとめるとは!それだけでいい監督じゃないですか?
ジョン・ウーと言えばスローモーションばかりと思っている人がいたとしたら、俳優ごとにスピードを変えている事に気をつけてみてはいかがでしょう?

上映当時はジョン・ウー監督の名前は一般人には知れ渡っているとは言い難く、少なくとも私は初めて観た映画でした。とても新鮮な演出の数々だと感じました。
あまりにジョン・ウーらしすぎる、という方は2000年以前にどれだけ彼の映画を観てた方でしょうか?トラボルタファンですかね?もしかしたらそれは後付けの感想ではないのですか?
少しマンガチックな演出も(波がザッブーンとか)ビジュアル重視ならいいじゃありませんか!リアリティよりもスタイリッシュさを優先させた訳で、2丁拳銃だってそうですよ。
リアルなら無しでしょう。もうこれはアクション映画の(西部劇からの)伝統なんじゃないですか?
車も人もクルクル回って空も飛んでます。
そういうの楽しみましょうよ。
でもドンぱちばかり派手で何が起きているのか分からない映画よりずっと面白かったですよ。

鳩が舞う演出は監督のサインだから見逃してあげて。「イーサンという男の象徴でもある。純粋な心の持ち主で、生きることに情熱を持ち、深く女性を愛する男。それらを白いハトを使って表現したんだ」ということです。

「全世界で5億4,600万ドル以上の興行収入を記録し、2000年の最高興行収入作品となった」。そして日本においては97億円と、シリーズ中ダントツ1位なんです。トム様人気がいかに日本で爆発的だったか!本作がどれだけウケたか。素直に認めましょうよ。

本作はシリーズ物として狭い見地で観るよりも、リブート的感覚で独立した1本として観た方が正解かもしれません。他の作品と共通点はルーサーだけです。前作はサスペンス映画でしたが、本作はアクション映画です。
で、本作以降はさらにアクション映画になっていきます。もはや第一作だけが違うテイストになった感があります。
単品として楽しいという事実として、私はシリーズ中1番リピートしてる映画です。

ヒロインも表情豊かで素敵ですし。アフリカ系のハーフがヒロインというのもいいし、犯罪者という設定も、女が「重く」ならなくていいです。
ツッコミどころは沢山あって、なんでここで武器を捨てる?とか思うけど。でも「アクション」を絵で観せたい。展開で面白がらせたい、いい場面のためならなんでもブチ込むという大サービス精神なのですから逆に嬉しいですよ。

コロナウィルスによるパンデミックを経験した今、もう一回観てみませんか?
「世界征服狙いのナントカ」でもギャングのボスでもなく、悪徳企業のドラマでもあるんですよ。
なんでコロナ陰謀説を真面目に考えたかっていうと、昔この映画を観ていたからかもしれないです。
そしてナイアの「良心」にぐっときますよ!
月うさぎ

月うさぎ