ダイナ

ミッション:インポッシブル2のダイナのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

唐突な困惑の中変装バラシからの敵の残忍性を如実に映した直後にイーサンの狂気のバカンス映像で「あ〜主人公もやべ〜や!」となりIMFの時と場所を選ばない追跡からの冗談交わしながらのミッション内容聞いてグラサン投げてテーマがドーン!な各勢力の背景やらスペクタクルやら情報多寡なOP10分は素晴らしいとしか言いようがない!(ここだけであれば★5に限りなく近い)

硬派なエンタメ道を邁進していた前作から一転、パッション漲るアクション方面に尖ってしまった本作。初見で前作の雰囲気を期待すると面食らうかもしれません。自分はその口で好きではない一作でしたが、今回数年ぶりに見返しこれはこれで拾い上げたくなる魅力にいくつか気付かされました。以前はイーサン・ハントと本作の宿敵となるショーン・アンブローズがヒロインであるナイアを取り巻く関係性に垣間見えるロマンスが邪魔くさく感じていましたが、ショーンの行動原理に着目するとそこもストーリー進行を上手く誘導しているポイントなのだなと思います。彼の言葉より人間はセックス、性の衝動から逃れられないと。目的達成のためにリスクを排除するのではなく、目的を達成し性欲(欲望)にも忠実に生きるからリスクも受容するといったその我の強く懐の広い信念は敵の像としてとても魅力的に感じます。替え玉経験よりイーサンを熟知しておりIMFからの裏切り者という背景、スキル知識体術ポテンシャル含め本作で退場するには惜しい人材のようにも感じました。

アクション多めの映像は見入るというよりは暑苦しいというか、個人的にはスパイものとしては派手すぎて笑えてしまいました。後続作品の派手さとは別種のような、監督の個性?なのかどうかは掴みかねますが、燃え盛るドアからハトが飛んでくる演出は正直笑わずにはいられない。スローモーションの多様やバイクがクロスする所、なんとなく「ここ見せ場!」と映像が話しかけてくるような暑苦しさを感じます。カーチェイスや銃撃戦、ワイヤーアクション等映像だけ切り取れば見応え抜群。

不確定要素にめっちゃ左右されそうなショーン替え玉派遣やハニトラ作戦とか「英雄には怪物が必要」と発言したネコルヴィッチとのコネクション含めIMFの実態がふわふわミステリアスな印象。あんた達組織の指示判断担当に話を聞きたい。

指の包帯をチラ見せすることでネタバラシの前に観客に気付きの猶予を用意してくれるのは良い演出でした。マスクを剥がしてからテーマ曲が流れる演出はクールでヨシ!マスクや声帯の準備とかすぐに出来ないだろうから事前にこの状況織り込み済みだったのかいとか服の交換着替えはえーなとか思ってしまうもののこのシリーズにおいて変装絡みに関しては現実的な目で見ない方が幸せな気もしますね。

最悪の事態がパンデミックと考えている自分としては非情に見えるかもしれませんがナイアの飛び降りするかどうか…!?といった時限はそこまで真剣に観ていませんでした。ロマンスシーンにのめりこみナイアに如何に感情移入するかが没入感の鍵のような気もします。並行したアクションシーンの濃厚さがしょっぱすぎてもう良い意味でも悪い意味でもお腹いっぱいに。全体通して見返すと乗り切れない点は多々あるものの、スパイ系の魅力である「騙し騙され」の点に関してはこれでもか!と随所に盛り込まれており(大体変装なんですが)楽しい面白いポイントも結構あるんじゃないかな!?とほんの少し思ったり。アンソニー・ホプキンスまた出てくんないかな〜。
ダイナ

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