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ルディ/涙のウイニング・ランのyastakのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

スポーツ感動ものが観たくなりNetflixで鑑賞。

同じくカレッジ・フットボールを題材にしたNetflixの密着ドキュメンタリー、LAST CHANCE Uは好きで全シーズン観てます。
こちらは不祥事などで名門大学チームをクビになった選手達が、低予算なコミュニティ・カレッジのフットボールチームで活躍することで、また名門のどこかにスカウトしてもらおうと再起を図る、というもの。山あり谷ありのシーズンを密着して、監督、選手、チームが描かれていきますが、ドキュメンタリーだけにいいことも悪いこともリアルで見応えあります。

変わって本作は70年代の実話をベースにした感動もの映画、ということで、レビューも高いし期待して観たんですが、残念ながら自分はイマイチでした…

主演は、ロード・オブ・ザ・リングのサム役がたぶん一番有名な、ショーン・アスティン。ストレンジャー・シングスとかにも出てきましたが、小太りで人のいい田舎住まいのアメリカン役がピッタリな印象。
フィリップ・シーモア・ホフマンも、若い頃は、性犯罪者の香りがするナードな白人役をやらせると右に出る人がいませんでしたが、そういった病的要素がない分、地味。

若かりし頃のジョン・ファヴロー(今と大体同じ)、ヴィンス・ヴォーン(シュッとしててイケメン)が脇役で出てくるので、その辺の楽しさはありました。お父さん役のネッド・ビーティは貫禄の演技でした。

話はそれましたが、ピンと来なかった理由について。

まず主人公のおかれた状況がけっこうわかりにくい。
70年代当時、大学に行ける人、行けない人という分かれ道が極東の島育ちの日本人には体感としてわからないこともあり、主人公がたどる、高校卒業したら一族がみんな働く製鉄所へ就職、というキャリアの底辺感、無念感があまり伝わってきません。

幼い頃からの夢とそこまでの熱意があって、なぜ必要とされる勉強も、スポーツも大して頑張ってこなかったんだろう、という疑問だけが残ります。
自分の生まれ、家族や周囲の考え方、身長165cm、体重60kgのフットボール向きじゃない体格とか劇中の説明だけで納得するのはちょっと難しい。
あと、スポーツものなのに、前半はほとんどアスリート感がありません。

結果として、主人公のノートルダム大への熱意だけが空回りしている感があり、本当に選手になりたいのか、ただのオタクなのか(体型的なこともあり)途中見分けがつかなくなりました。
熱量だけがけっこうすごいので、ストーカーにも近い怖さを感じ、ますます主人公に自分を重ねることができなくなってしまいました。

また、2時間弱という尺に収めるために、いろいろ話が急ピッチで進みます。
この辺は90年代の映画では割と観られる傾向ですが、、、本作もかなり詰め込んでます。
無二の親友的間柄を強調するエピソード後に突然の事故。
実話ということを差し引いても、もうちょっと丁寧に描いて欲しかった。

主人公が全体的にマイペースで周囲への感謝が足りない感じも、共感度低めでした。
いや、泣いて感謝して努力しろよ、と。
神父さま、フィールド整備の方ともに、足を向けて寝られないくらいお世話になっていますが、そういう感じがあまりしません。

何度もトライして、ようやく編入が決まったときに「神様ありがとう」って…。
感謝する先が違うだろ、っていうか、シーン的には直前の、教会での神父さんの話聞いてたの?って思っちゃいました。

あと、お兄ちゃんと元嫁がくっついて憤然とするところとか。
自分が勝手に出てって、そこ怒るところ?と不要な突っ込みを入れてしまいました。

前半は人生ドラマ、大学編入後のトライアウトを経て、後半は一転してスポーツものになっていきます。
大学生活も終わりに近づき、日頃の努力がチーム内にも認められ、1試合だけ出させてもらうことになるのですが、相手が強豪ジョージア工科大ということはいいとして、ノートルダム大がシーズンをどのように戦って、現在何位でどの程度重要な試合なのかがわからないと、イマイチ盛り上がりません。

消化試合なら、勝ちが確定したところで監督もさっさと出してあげるべきだと思うし、そうじゃないならやはり出番はないと思います。
40年以上前の話なので勝手は違うでしょうが、LAST CHANCE Uを観ていても、大学フットボールリーグの厳しさはかなり伝わってきますので、その辺も(自分的な)温度差の一因でしょう。

まあそれだけ厳しい環境で、周囲を動かし結果を出した、ということが奇跡に近い、という話なんでしょうが…。

人間ドラマはあってもいいけど、なんとなく全体的に漫然として、どこを中心に観ればいいのかわかりにくい映画でした。
つか、リアルな主人公はもうちょい共感度高いイイやつだったと思うけどなあ。。チームのみんなが応援したくなるような。
結果として(自分には)ワガママな甘えんぼみたいに見えちゃったのが残念でした。

散々な評価になってしまいましたが、やはり主人公へ思い入れが持てなかったことが一番大きな理由だと思います。
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