柊渚

ペット・セメタリーの柊渚のレビュー・感想・評価

ペット・セメタリー(1989年製作の映画)
4.2
愛した者を蘇らせる。
言わばそれは神の領域をも侵す行為。
どこまでが「愛」で、どこまでが「エゴ」なのだろうか?

「死」というテーマをどこまでも冷酷に扱うことで、人間愛や家族愛の哀しさ、人間の愚かさを描いたスティーヴン・キング原作の作品。


医者のルイスが妻と幼い子ども二人を連れて引っ越してきた家の近くには、埋めた死体が蘇るという土地があった。ただし蘇った者は生前と何かが変わってしまう…。
いけないことだとわかりつつも、愛する者を生き返らせるという禁忌を犯す男のお話。


失った愛する人と一緒にいたいという気持ち自体は純粋で尊いもののはずなのに、そうする方法は人間の道を踏み外すようなものでしかないということがかなり皮肉めいています。

今作はホラー映画ですが、恐怖といったものよりも大切な人の死を受け入れられない未練や狂気染みた愛、その愛ゆえの愚かさがとても印象的でどこまでも悲哀に満ちていて…( ;∀;)
ホラーは怖くないといけないものだけれど、ただ怖いだけのホラーは全然怖くなくて、愛と悲しみが根底にあってこそ起きてしまう惨劇が私は一番怖いなと思います( ;∀;)


おそらく色々とツッコミどころがあったり、最後まで救われる物語ではないのですが、愛と悲しみがぎゅっと詰まった好きな作品です。ラストの物悲しい余韻を一気に粉砕していくテンション高いラモーンズのエンディング曲も好き…。

あと貴重な癒しは子どもたちと赤い短パンの幽霊パスコーくん!パスコーくんは左半分の頭が抉れちゃってぐちゃぐちゃだけど、とてもキュート。こんな幽霊なら私もぜひ会いたい。

ゲイジの「ずるい」は二重の意味でずるい…(゚´ω`゚)
柊渚

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