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ディーバのmiporingoのレビュー・感想・評価

ディーバ(1981年製作の映画)
4.0
年齢がバレるけど、当時映画館に観にいった。好きすぎてレビューが書けないでいました。好きな作品ほど感想が書けないってことないですか? この映画はサスペンス要素とロマンス要素が、スタイリッシュな音楽と映像をバックに絡み合い、1983年にしてこの斬新な映像美がわたしには衝撃的だった。オペラ歌手が黒人で配役の女の子がベトナム人という多様性も今日的。計算された映像美と音楽が本当に印象的で、ストーリーがどうでも良くなるほど。サティのジムノペディにも似たピアノ曲をバックに夜から明け方にパリの街を散策する二人のシーンがとびきり好き。あのシーンは美しいばかりでなく、郵便配達人のジュールが雲の上の人だと思っていた恋焦がれた憧れの著名なオペラ歌手とまさかのデートをしているという抑制された静かな高揚感が感じられるからこそうっとりしてしまうのだと思う。あと、決して録音せず生の声しか聴かせないというポリシーを持つシンシアの歌をこっそり録音して夜な夜な個人的に楽しんでいるという甘い罪悪感も伴っている。実際、ストーリーに関してはどうでも良いと言ってもいいくらいに浅い印象だったんだけど、今観ると印象が変わるかな。当時は若かったから満足だったけど、今ならストーリーに不満を感じるだろうことも予想できてしまうな。「めっちゃオシャレな映画!」と感動して原作も読み、サントラも買ってしまった、若き日のちょっとミーハーだった自分を思い出す一作。
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