シンタロー

脅迫(おどし)のシンタローのレビュー・感想・評価

脅迫(おどし)(1966年製作の映画)
3.8
深作欣二監督×三國連太郎主演によるサスペンス。三沢は妻、息子と3人暮らし、ごく普通のサラリーマン。ある日、資産家の医師・坂田の孫を誘拐した脱獄犯・川西とサブが自宅へ逃げ込んできた。2人は三沢の妻子を人質にして、医師から孫の身代金として一千万円受け取ってくるよう、三沢を脅迫するのだが…。
モノクロながら、スピード感あふれる1時間半で、凶悪犯との2日間を描ききり素晴らしい。主要な登場人物は孫の赤ちゃんを含めてほぼ6人。前半は室内劇のような心理戦。夫婦危機も描かれ、なかなか繊細です。身代金受け取りに挑む中盤からは、街中、デパートでのドキュメンタリーのような臨場感あふれるカメラワーク。主人公の折れそうな精神描写が怖くておもしろい。車中劇からのクライマックスは、演者の大熱演もあってお見事でした。
主演の三國連太郎。すでに中年期ですが、マルチェロ・マストロヤンニのような品のあるハンサムな男っぷり。優し過ぎて妻子や同僚からなめられてるような男が、極限状態まで追い込まれて狂気を帯びていく感じが素晴らしかったです。室田日出男との激突シーン…ヤバかった。タイプキャスト気味な西村晃もさすがの迫力。悪い顔してるよ。
祖父が任侠物や女郎物を嫌ってたので、深作、五社作品はあまり一緒に観たことなかったんですけど、これはおもしろくて何回も一緒に観た想い出深い作品です。
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