じーつー

セラフィーヌの庭のじーつーのレビュー・感想・評価

セラフィーヌの庭(2008年製作の映画)
3.3
 美しいけれど、暗く異様な視線を放ち、見る者を不安にさせる。そんな絵を描いた画家の姿を見つめる。

フランス絵画の流れの中で素朴派に属し、本能の赴くまま、あふれる感情をこめて花や樹木、果実などを描き続けた女性画家セラフィーヌ・ルイの半生をつづって2009年仏セザール賞の作品賞など7部門を受賞した。

自然に抱かれ、神への愛に身も心も捧げながら、心を病んで精神病院で生涯を終えた女性。その心象風景としての絵が生まれる過程を、監督のマルタン・プロヴォストは細やかに描写しいて、深く感動させられた。

裸足で野を駆け草木と会話する彼女に目を奪われ、時代や環境に翻弄されだんだんと心壊れる姿に胸が締め付けられた。