ケイリー・グラントが、体調を崩して2階で休んでいるジョーン・フォンテインにミルクを入れたグラスを持って階段を上るシーンがある。夜の暗闇にミルクの白が怪しく光るためグラスに電球を入れたと言われている有名なシーンでサスペンスを盛り上げる。そもそも2人の出会いから結婚までがリアリティがない上に、ケイリー・グラントの生活破綻者ぶりが普通では看過し難いので、そこらへんをこだわってしまうと楽しめる作品ではない。でたらめに見えるケイリー・グラントがジョーン・フォンテインを金目当てに殺すか否かにかかるわけだが、当時のハリウッド映画ではこういうエンディングにならざるを得ないだろう。30年以上ぶりの再見でほとんど覚えていなかった。ヒッチコック作品はほとんど見たがほとんど忘れている。
