これは映画だね。映画!
でも個人的には西部劇って苦手で。駅馬車も、捜索者も、リオブラボーも、リバティバランスを射った男も、荒野の用心棒も、ワイルドバンチも、面白いんだけど大味で、なんか見終わったあとに何も残んねぇなぁー。と思っていて、それはなんだろうかと考えてたら、この映画に答えがあった。それはクラウディア・カルディナーレだ!
多分、自分の中で、映画は女優の表情を観るためのもの。ってのがあるんだと思う。西部劇にはそれが少ないから満足できなかったのかもしれない。そして、それがこの映画にはあった。あのカットの、あの顔よ!なんて顔してるんだクラウディア!
多分あそこがなければ、ふーん。面白いしカッコイイし楽しかったなー。おしまい。ってなったと思う。それがあの顔のせいで、すべてが焼き付いてしまった。新しい時代から愛されることのなかった男たちの哀愁が、これ以上ないエンディングによってドラマティックに演出されて、まるで西部劇の最終回を観てるようで感動してしまった。
確かにヘンリー・フォンダに悪役が似合ってるかどうか微妙なとこだけど、あの、ね。あの、くるっ!て、周るシーンは演出なのかヘンリー・フォンダのアイディアなのかわからないけど、まぁ、そりゃかっこいい。ブロンソンの引っ張る価値のある動機も気持ちがいいぐらいに決まってたし、ジェイソン・ロバーズの不器用な恋模様も物語を絶妙に転がしていた。
それでも少しだけ不満をあげるならモリコーネの音楽の主張が強すぎると感じた点と、テンポの悪さだろうけど、でもそれは、音楽の必要性を感じさせないぐらいに、役者が感情の溢れる芝居をしていたということだし、セルジオ・レオーネはその表情を撮りたかったからテンポを捨てだんだろうし、まぁいいか。
いやーもう。あのクラウディアの表情にすべてが集約されていて、あのシーンを観れただけでもよかった!