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しあわせの隠れ場所のLEOのレビュー・感想・評価

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)
3.6
ホームレス寸前の生活をしていた黒人青年が、とあるきっかけで白人一家に迎え入れられ、更にはアメフトの才能を見出されたことで一気にスター選手へと開花していく話。

NFLドラフト1巡目でボルチモア・レイブンズに指名されて入団したマイケル・オアーと、彼を迎え入れたテューイ家の主婦リー・アンをめぐる実際のエピソードを基にした映画だそうだ。

自分の家は子供の頃とても貧乏で、どちらかと言えば保護を受ける側の人間だったから生活に余裕なんかなく、自分も寄付とかボランティアとか福祉活動までも含めて「裕福で気持ちの余裕がある人がやるもの」という根強くこびりついたような意識を持っていた。
そんな気持ちを、長年色々な人と知り合う事で「そうじゃないんだ」と理解することができるようになったと思うのだが、この映画を観た第一の感想は感動ではなく「本当にこんな人いるんだ…」という驚きだった。
どういう育ち方をすれば、こんな無償の愛情を人に捧げられるようになるんだろう?と。

そんな拗れた生活環境で育った自分故についこの作品を斜めから見てしまうのだが、悪人が一人も出てこず、全編が「感動させること」を目的に作られたような作品。
一歩間違えば「白人が黒人に持つ優越感」や「セレブが貧困層に憐れみと施しを与える」ことを描いた作品。
…とみられてしまう危険性を多分に孕んでいるようにも思えるのだが、それを抑えてしまう作りになっているのが素晴らしい作品という証なんだろう。

リー・アンがマイケル・オアーに言ったように、「過酷な環境で、よくグレなかったわね」。
自分もよく言われたわ(苦笑)
正にそこが人生の岐路なんだよな。

自分にとっては“素晴らしい感動作”というより、“人の多様性で驚かせてくれた良質の作品”というところですかね。
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